こんにちは、@yshr10icです。
「その問題、数理モデルが解決します」を読んだので、その読書メモです!
本書のポイント
「その問題、数理モデルが解決します」はどんな本なのか、ポイントをご紹介します!
- 身近な話題をどう数理モデルで表現するかを段階的に説明
- いきなり難しいモデルを説明するのではなく、簡単なモデルで説明してから徐々に難しくしていく
- 数学な好きな男の子(花京院)と数学が苦手だと思っている女の子(青葉)の対話形式となっており、青葉が絶妙なタイミングで「ちょっとなに言っているかわからない」と言ってくれる
「数理モデルってどう役立つの?」「どうやって現実の問題を数理モデルで表すの?」という人におすすめの一冊です。
なお、本書には続編も発売されているので、こちらも合わせて読みたいですね!(私は続編をまだ読めていないため、読み終えたらブログにまとめようと思っています!)
本の紹介
本の章立ては次の通りです。
- 1章:隠された事実を知る方法
- 2章:卒業までに彼氏ができる確率
- 3章:内定をもらう方法
- 4章:先延ばしをしない方法
- 5章:理想の部屋を探す方法
- 6章:アルバイトの配属方法
- 7章:売上をのばす方法
- 8章:その差は偶然でないと言えるのか?
- 9章:ネットレビューは信頼できるのか?
- 10章:なぜ0円が好きなのか?
- 11章:取引相手の真意を知る方法
- 12章:お金持ちになる方法
1章〜5章は学生時代の話し、6章〜12章は青葉が社会人となり大学院に進学した花京院に相談に行くという話しの展開になっています。
章のタイトルを見ていただければ分かると思いますが、身近なことで説明されていることが分かるのではないのでしょうか?(ただこれらのことについてなかなか「確率を計算してみよう」「モデルを作ってみよう」と考えることはないかとは思いますが。)
各章の概要
1章:隠された事実を知る方法
大学内での喫煙率を調べるアンケートで方法で、どうやったら本当の喫煙率を取得できるか書かれています。なお、大学内は全面禁煙となっているので、普通に聞いたら本当のことを答えてくれません。喫煙に関する質問以外にも、正直な回答に抵抗がある質問(犯罪、未成年の飲酒、学校でのいじめなど)にも有効な方法が解説されています。
2章:卒業までに彼氏ができる確率
彼氏が欲しい青葉が卒業するまでに彼氏ができる確率を計算します。出会った男性がある一定の確率(例えば5%とか)で青葉を好きになる場合に、1人以上から好かれる確率を計算します。最初は出会う男性の数を3人として計算し、その後に人数をn人へと拡張して(難しくして)いきます。
本書のポイントでも触れましたが、本書では簡単なモデルから徐々に難しいモデルへと進んでいきます。簡単なモデルで重要なのは2点あると思っています。1点目は、「出会う男性の数を3人」と限定することで、手計算でモデルの構造や確率などを計算できること。2点目は、「出会った男性がある一定の確率(例えば5%とか)で青葉を好きになる」と強い制限を加えることで、調べたい現象を単純化すること。
2章以降でも上記のポイントを用いて、簡単なモデルから徐々に難しいモデルへと話しが進んでいきます。
3章:内定をもらう方法
まずは2章と同じ方法を用いて、応募した企業がある一定の確率で内定を出す場合に、1社以上から内定を獲得する確率を計算します。その後に、企業ごとに内定を出す確率が異なる場合に、1社以上から内定を獲得する確率を計算します。
4章:先延ばしをしない方法
サボり癖のある青葉の行動を例に、どうしてやらなければいけないことを先延ばしにするのか?を時間割引の概念を用いて説明しています。本章で学んだモデルを用いると、必要な作業量、締切、時間割引(1期先の価値を現在の価値で表すとどの程度になるか)を設定すれば、その人がどの程度の日数先延ばしするのかを計算することができるようになります。
夏休みの宿題や卒業論文など、サボり癖のある人は一度モデルを用いて計算してみると面白いかもしれませんね。
5章:理想の部屋を探す方法
選択肢の中から最適なものと一つ選ぶ方法についてです。ただし条件があり、すべての選択肢を吟味してから最適なものを選ぶことはできず、選択肢一つひとつを見たあとにそれを選択するか決めなければいけません。過去に選ばなかった選択肢は後から選択できない状況です。
このような問題は秘書問題とか結婚問題と呼ばれているそうです。
6章:アルバイトの配属方法
いよいよ青葉が会社員になりました。本章からは、青葉が仕事をしていく上で悩んでいたり、疑問に思っていることを喫茶店で花京院に相談していくというストーリーです。(花京院に相談して良いのか、というのは置いておきます。)
青葉の会社ではアルバイトを20人雇い、5店舗に配属させることになりました。アルバイトは本社で一括で採用しているので、誰をどこの店舗に配属させるかを考えるという問題です。ここではDAアルゴリズムという手法を用いて、問題を解いていきます。
7章:売上をのばす方法
オンラインサイトのデザインを変更した場合に、どのデザインが売上に一番貢献するのかを知る問題。ここでは、ランダム化比較実験の方法について説明し、なぜランダム化比較実験で結果が分かるのか、結果が有意であるのか、について説明しています。
8章:その差は偶然でないと言えるのか?
7章で「結果が有意であるか」という説明があったが、本章ではより詳細に仮説検定について説明されています。
9章:ネットレビューは信頼できるのか?
ネットレビューは匿名で投稿できる、かつ主観的な意見であるため、それらを集計した結果を信頼することができるのか?という問題です。現実においても、Amazonなどのレビューを信じて良いのか、良くないのかという判断をするために参考になる章となっています。ここでは、陪審定理を用いて説明しています。
10章:なぜ0円が好きなのか?
2つの実験を実施します。
- 高級なチョコレートを1個50円、安いチョコレートを1個10円でレジ横で売る
- 高級なチョコレートを1個40円、安いチョコレートを1個0円でレジ横で売る
上の例では、高級なチョコレートと安いチョコレートの値段の差は共に40円であるのに、2の方が安いチョコレートが多く売れるというのです。
高級なチョコレートが10円安くなるときの購入者にとっての嬉しさよりも、安いチョコレートが10円安くなるときの購入者にとっての嬉しさの方が大きいという現象をモデルにより表現するというのが本章の目的となります。
11章:取引相手の真意を知る方法
本章では、ゲーム理論を用いて、複数の取引先の価格競争について分析しています。個人的には、「取引相手の真意を知る方法」というのは少し本章の内容には合っていないかなと思いました。
12章:お金持ちになる方法
ギャンブルの例をもとに、ギャンブルを続けていくと、現在の世帯年収のグラフと同じような結果になることを説明しています。
まとめ
数理モデルというと少しとっつきにくい印象がありました。本書を通して、普段私たちの置かれている状況を数理モデルで表せることが分かりました。
まずは状況を簡単にすること、どのような数理モデルがあるのかを知ること、ができればより幅広い状況を数理モデルで表すことができるようになると思います。
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